玉園台の家/House gyokuendai

所在地 :東京都町田市
主要用途:住宅
竣工  :2019年9月
敷地面積:372.56u
建築面積:92.15u
延床面積:148.64u
規模  :地上2階 地下1階
構造  :RC造(一部木造)
構造設計:鈴木啓/A.S.A
照明設計:内藤真理子/コモレビデザイン
施工  :北芝建設
写真  :鳥村剛一 小長谷亘 他




大きな桜の木のある小さな公園に面した敷地に建つ設計者の自邸。
2階は自身と照明デザイン事務所を営む妻の仕事場。1階は住居となっている。
北側に向かって下がる斜面の途中にある敷地は道路から一段低く、古い道路擁壁にも面していたため、
1階部分を堅固な鉄筋コンクリート構造とし、2階レベルをアプローチと駐車スペースとしている。

鉄筋コンクリート造の1階住戸空間は重々しく閉鎖的な空間にならないように、全体の天井高を3.46mとし、
南北に充分な広さの庭をとりつつそれぞれに大きな開口をつくることで、光と風が抜けるような空間としている。
公園の大きな木々は、夏の強い日差しを遮ってくれる。まるで公園の一部のようなおおらかで開放的な家を目指した。



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敷地西側の既存道路擁壁の高さは道路が坂道になっているおり、6.2m〜1.9mの高さがある。
建物を敷地中央に配置し、2階の床スラブを道路レベルに合わせていくことで空間の骨格をつくりだしているが、
それは同時に南北両側に敷地の空隙≒庭をつくりつつ、心地よい天井高の室内空間を生み出すことに繋がっている。
1階室内からみると道路擁壁は適度なプライバシーを確保するとともに、夏場の西日をカットする効果もあるため、ガラス開口を無理なく成立させる一助となっている。

冬場は南側の公園の木々の葉が落ち、夏場とは逆に深い日の光が室内に行き渡る。
コンクリートの躯体は熱を溜めやすい性質があるため、冬の晴れの日は昼間1階窓面のカーテンを開け放ち、熱を溜めて過ごすようにしている。

1,2階のコンクリートスラブ間の高さは3612mm。型枠パネルが無駄なく組める寸法となっている。
同様にコンクリート壁・柱の寸法や間取り、天井スラブのパネル割りについても無駄のない寸法を適用。
コストを抑えつつ、均整のとれた表情をつくるようにしている。






真鍮の玄関扉・窓枠/モルタル素地仕上げの外壁/構造梁剥き出しの天井/染色された躯体コンクリート床/黒皮の鉄の階段・手摺・玄関土間/
焼きをいれたステンレス/型枠の木目が転写された打ち放しコンクリート/荒い木目のオークの無垢板フローリング/大きな断面のニヤトー材のサッシ/
幅1.5m・高さ3.6mの大きな引戸/コンクリートの目地にそのまま潜りこむガラス/天然木を使ったキッチン家具・室内扉/
大谷石/真鍮のキッチンフード・照明/水廻りの水に強いスレート石/防水性能を持たした屋外のコンクリートスラブ

いずれもできるだけ経年変化を楽しめる素材を選び素の状態で用いることと、可能な限り見た目ではなく実質的にディテールレスな納まりとしていくことでコストを抑え、
素材の風化を確かめるための自らの設計活動の実験の場とした。



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