Monsanto

石の村、モンサント。 モンサントはリスボンの北東350kmぐらいにある村。もう少しでスペイン国境という場所。
学生時代からずっと気になっていた場所。

早朝ホテル近くのバス停からサンタ・アポローニャ駅に。正月なのでまだ日の出前。そこから7:12 の列車に乗って、まずはカステロブランコに向かう。
三時間ほどでカステロ・ブランコ駅に到着。モンサントへの交通手段は1日2便のバスかタクシー。バスだと日帰りも不可能なので、ふんぱつしタクシーで向かうことに。モンサントにタクシーがあるかはかなり微妙なのでタクシー往復となるが、いくらかかるかわからないので事前に交渉。もちろん英語は通じないのでポルトガル語単語集を駆使。ガイドブックによると相場は65ユーロらしいが、50ユーロで交渉終了。一路モンサントに向かう。
おじいさんの運転手ですがものすごいスピードでとばしていく。 森は少ないですが低木の緑がちらほら見える。しばらくすると正面に山が見えてきた。運転手さんが何か叫んでいる。どうやら目的のモンサントの模様。山や近づくと頂上から左側の尾根づたいになにやら村らしきものが見えてくる。テンションがあがる。
山の中腹の小さな広場でタクシーを下車。一旦運転手と別れる。「シエスタの時間にはカステロ・ブランコに戻りたいから1時間後には戻ってきてくれ」と書いているようなメモを見せられり。いくらなんでも早すぎ。

村を歩き始める。中腹から下は漆喰を塗った白い家が並ぶが、少し上っていくと石積みをそのまま外壁に見せた家のエリアに入る。
外壁は石積み、屋根組や床は木で、屋根は瓦の家が多い。石積みの目地にはセメントが見あたらない。大雑把に見えて繊細。古来より人々を守ってきた外壁。
この山は全体的に岩・石で覆われていて、それをそのまま利用して家を造っている。道路面も当然石。 村の中にはところどころ巨石が転がっているが、実はこの岩は家の一部だったりもする。

教会も巨石でつくられている。岩の間の隙間を利用して内部化している。
中に入ると想像以上に真っ暗。出入り口部分からの光のみ、あとは蝋燭などで補っているようだがこのときは何もなく真っ暗。
巨岩の隙間という空間はやはりどことなく落ち着かない。 外にでると冬なので日が低く暗い印象だが、夏場はまったく違う風景になりそう。石の教会もひんやりしていて実は気持ちいいのかもしれない。
外部の岩のへこみ部分には石の十字架が据え付けられていた。


裏手を少し進むと今度はは巨石2つにはさまれた、というよりも岩の間の空間を利用した家に出会う。玄関のところだけ、石を積んで外壁にしている。実に効率的。今でもちゃんと人が住んでいる。

しばらく歩くと村の少し高台のような場所にでた。結構高い位置に街があるのがわかる。
どうみても平地の方が住みやすそうだが、歴史上外敵から身を守るために住んできたのが理由だと推測できる。ただそれ以上に古の人の「ここに住むんだ!」という強く潔い意志を感じる。

次に見つけた巨石はレストランとなっていた。地元の人で賑わっている。巨石が教会だったりレストランだったりと街のランドマークになっているようにも思える。自分の街にもこんな巨石が転がっていたらとふと考える。

坂道を登り山の頂上を目指す。 どんどん坂道を登っていくと村を抜けて石がごろごろする地帯に。ここから先は純然たる山登り。時間が限られているので足早に登っていくがさすがに息が切れる。

頂上に到着。頂上には城跡がある。一部石積みの城壁があるが、ほとんどは巨石を城壁として利用した天然の要塞。城壁の中は教会の建物だけが残っている。

城壁跡に登るとモンサント村を眼下に一望できる。山下には延々と大地が広がっていく。平地にはところどころにしか街が見えない。それにしても凄いところに街をつくったものだ。雄大な風景に疲れも癒される。







































山の別の斜面をみると、そこにも岩がごろごろしているが方角的な問題かこちらには村はない。なんだか不安定な感じの岩が多いのと、斜面も少しきついのが理由かもしれない。むしろ天然の要塞のようにも見える。
絶景。

下山し、再び村を散策。
村のはずれの岩が特に多いエリアを歩く。村はずれな為かこちらは廃屋が多い。

廃屋が多いエリアのせいか、道の石畳に苔が生えている。無機物+有機物なんともいえない質感。


















途中おもしろい建物を発見。高さ1.2mほどの塀の上から小さな建物が頭を覗かしている。屋根には草が根付き、帽子のよう。実はこれ、豚小屋。一匹元気に動き回っている。

しばらく歩くとまさに写真で気になっていた家を発見。1つの巨石の下をそのまま居住空間にしている。でも石を少し持ち上げているようにも思えて妙な感じがする。もちろんこんな巨石を持ち上げることはできない。おそらく中くらいの岩が巨岩の下に挟まっていて、偶然空間が生まれていたのだろう。下部にはじめにこの岩をみつけた人の興奮が伝わってくるようだ。
人が住んでいないのか、倉庫なのかわからないが人の気配がせず入れず。残念。



その手前のちょっとした坂道。岩肌に階段を設けているのが、削って段を作った部分(引き算の造形)と石を積んで段を作った部分(足し算の造形)が同在している。S字のカーブも角度調整の意図がありそうだが非常に良い感じ。無名の名作。

村を散策中、実はガイドがついてた。

←この犬。

巨石の教会前あたりから二匹の犬が我々の前をかわるがわる歩いてた。なにゆえか。餌は無いよ。

我々が行こうとする先をひょこひょこ歩いていき、ときどき家の前で休んだり。この家の犬かなと思いきや、また歩きはじめる。この際最後までついていってみると、街を一望できるちょっとした広場まで出た。そこがなかなかの眺め。すばらしいガイドでした。

Obrigado!

CasteloBranco

1時間をやや過ぎてからタクシーと合流。つくづくもう少し過ごしたかった。
カステロブランコに戻りタクシーのおじさんと別れると、おじさんは再びタクシーの列に戻ることなくどこかへ。今日は儲かったので店じまいして飲むつもりだな。 我々もかなりの空腹で、物色する体力もなかったので「地球の歩き方」に唯一でていたレストランに直行。

『Praca Velha』(ペラサ・ベーリャ)
街一番のレストランとして紹介されていた。恐る恐る外のメニューを覗いたがそれほど高そうでもなかったので、入ることに。建物は石造(床は木組)。中はあっさりとしたデザインの上品なレストラン。店員もしっかりした感じで、田舎町であることを忘れる。街一番の誇りを感じる。
1品目。やや濃めの暖かいコンソメスープ。器も上品。ただお腹が減っているのであっという間に。。
2品目。これまたスープ。コーンスープっぽいが、甘くなく全体的に薄味。そのせいか中に入った野菜のエキスを感じる。レンズ豆のようなものがたくさん入っているほか不思議な野菜がいくつか。なかなか洗練された味。

メイン。昨日オビドスではまったアヒルのローストのオレンジソースかけ。オビドスで食べたものとは少し違う風味。オレンジの皮も少し入れて苦味も加えている。脇には長粒米の軽いリゾットと緑野菜のペーストがのったパイ。おいしいなあ。
デザート(私)。カッテージチーズにシナモンと蜂蜜がかかっている。このカッテージチーズがこれまた美味しい。何もなくてもいけそう。もちろんシナモン・蜂蜜がかかってもマル。
デザート(妻)。同じくカッテージチーズだが、脇にはフルーツのジャムのようなものが。なんのフルーツだかわからず。コーヒーももちろんつく。 これで1人12〜15ユーロとレストランのレベルに比べて格安。ポルトガルの地方都市巡りにはまりはじめた。食べ終わると店のオーナーらしき人(結構若いお兄さん)が話しかけてきた。異国の日本人の舌がどう感じたか興味深々といった感じ。

リスボンへの帰路についてインフォメーションセンターで聞いてみたたところ、帰りは電車ではなくバスの方が便数があり、安いことも判明。バス停まで歩きしばし待ちます。写真はバス停付近のお店で店番をしている犬。バスはかなり正確な時間でリスボンに到着。ポルトガルではバス移動がお薦め。

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